姓名から年々の運勢は分かるのか?実際に存在する姓名判断流年法とその問題点を解説
四柱推命や手相には流年法というものがあり、そのため姓名判断においても年々の運勢を知ることはできないのか?という疑問が出てくるのは当然のことだと思います。
実際、姓名判断においても古くから流年法は試みられており、その端緒が熊﨑健旺氏だと記憶しています(もしかしたら他にいるかもしれませんが、私が学んできた中では、初期の姓名判断家で熊﨑氏以外に流年法を導き出している人は見たことがありません)。
ところで姓名においても地格、人格、総格などの部位によって大まかに人生における運勢の起伏を知ることができます。しかし、これは概して幼少期・青年期・壮年期・晩年期と非常に大きな流れであるのに対し、年毎の細かい運勢を知ることができるというのが流年法となります。
姓名判断における流年法は易占いを用いる
早速以下、実際に存在した2つの姓名判断流年法を紹介したいと思います。これらは二つとも、易の六十四卦を用いることで姓名からも年々の運勢喜忌が分かるとされる占い手法です。
易占いとは、6つの陰陽の棒(陽爻・陰爻)を用いた占いで、各8種(八卦と言い、天地自然を8種の卦であらわす)ある上卦(かみけ)・下卦(しもけ)を組み合わせ、合計64(8x8)種の卦から未来を占う古代中国由来の占い手法です。
熊﨑健旺氏による流年法概要
熊﨑氏は地格・地格・総格などの大きな運勢の流れとは別に、後年は流年法も考案していました。熊﨑氏の著書にその占い方法が掲載されていますが、少し難しい内容ですので、以下に簡単に概要を解説致します。
- 四柱推命と同様大運10年、流年1年間の運勢を知ることができる
- まず、総格の数と地格の数から基本卦を導き出す。方法は総格数を8で割った余りの数を上卦、地格数を8で割った余りの数を下卦とする。なぜ8なのか?については、8は易における8大要素であるため
- 上で導き出された基本卦をもとに大運を出す。大運のスタートは基本卦(10歳まで)。大運の第一運(10歳~)は基本卦の初爻の陰陽を入れ替え、10年毎に二爻、三爻と入れ替えていき、その卦の運勢が大運の運勢を示しているとされる。
- 上で導き出された大運卦をもとに流年運を出す。流年は大運の卦の初爻の陰陽を入れ替え、1年毎に二爻、三爻と入れ替えていき、その卦の運勢が流年の運勢を示しているとされる。
- 卦の上爻まで到達した場合は、基本卦に戻り、繰り返す(つまりは6周期)
- このように易の卦を元にすることで、大運流年ばかりではなく月運・日運も分かるようになる(月運は流年卦を元に、日運は月運卦を元にする)。
- 占いの結果は、たとえば卦が『地天泰』なら大変良い運気だとされ、『天地否』なら大変悪い運とされるように、易の吉凶を元に大運・流年の運勢が占われる。
以上が熊﨑健旺氏の秘法だとされている流年法になります。こちらは国会図書館のデジタルアーカイブにて参照できますので、一応以下にリンクを付しておきます(結構読みづらいです)。
【熊﨑式姓名学大奥義、地の巻(国会図書館デジタルアーカイブ)】
鮑黎明氏による流年法概要
それからもう一つ、鮑黎明という人が姓名判断流年法を行っているのでこちらも紹介致します。ちなみに鮑黎明氏は熊﨑氏よりももっと最近の方で、1954年生まれだそうです。四柱推命や紫微斗数の本も何冊か出されています。調べたところ、熊﨑氏とほぼ同じ方法でしたので、おそらく熊﨑氏の流れから来ているのだと思います。
以下、鮑黎明氏による流年法概要を示します。
- 四柱推命と同様大運10年、流年1年間の運勢を知ることができる
- まず、総格の数と地格の数から基本卦を導き出す。方法は総格数を8で割った余りの数を上卦、地格数を8で割った余りの数を下卦とする(熊﨑氏と全く同じ)
- 上で導き出された基本卦をもとに大運を出す。大運のスタートは基本卦(10歳まで)。大運の第一運は基本卦の初爻の陰陽を入れ替え、10年毎に二爻、三爻と入れ替えていき、その卦の運勢が大運の運勢を示しているとされる。
- 流年運も同様。
- ただし、熊﨑氏が上爻の陰陽も入れ替えていることに対し、鮑黎明氏は上爻は入れ替えず基本卦に戻るという手法を採っており、ここだけが微妙に異なる(上爻は卦を支配するものであるため、入れ替えは禁止としている)。
- 鮑氏の大運の表記は第一運が11歳~と、熊﨑氏と微妙に異なっていますが、これは表記上のことで実際は同じです。つまり、鮑氏の表記の意味は10歳が基本卦で、11歳から初爻を変ずるという意味だからです。
- 占い方も熊﨑氏と同じで、出た卦を元に吉凶を判断する
とこのようになっており、鮑黎明氏も熊﨑氏とほぼ同じ方法で姓名判断流年法を採用していることが分かりました。少し複雑ですがこれによって確かに大運・流年のみならず、月運や日運なども分かってしまいます。今回の参考書籍は以下です。
私の運勢を判断してみた結果...姓名判断+易を用いた占いはなぜ当たらないのか?
そこで、私もこの方法で自分の運勢を占ってみました。もちろん本名です。その流れは以下となります。
本名の総格数および地格数をもとに基本卦を導き出す。私は【風沢中孚(ふうたくちゅうふ)】という卦でした。この卦は吉卦とされることが多く、鮑氏の著書にも『不思議とツイている人、といった印象がつきまという』といった文言があります。
基本卦を元に大運を導き出します。基本卦【風沢中孚】が主宰するのは10歳までの大運、10歳~20歳までは初爻を変じて【風水換(ふうすいかん)】、20歳~30歳までの大運は二爻を変じて【風雷益(ふうらいえき)】となります。
ところで、私は【風沢中孚】の運気の時に命に関わる大事故をしているのですが、この時期の運勢の解説を読むとそんなことは書いていないばかりか、良い事ばかりが書いてあります。例えば『気力が充実し、毎日が非常に楽しく感じられます』『実行力・バイタリティともに絶好調の時状態で、物事がスムースに運んでいくわけです』『物質面でも恋愛面でも、非常に充実した年になります。』(いずれも鮑氏【姓名易断術】)とありますが、実際にはこれとは真逆の状態でした(苦笑)
しかし、流年運も見てみなければ分かりません。そこで死にかけた年の流年運を出すと、【風雷益】となっています。こちらの運勢を参照すると、鮑氏の著書にはこんなことが書いてありました。
『風が吹き荒れ、雷が轟くというと、何か不穏なことが起こる前兆のようですが、心配は無用です。風雷益の益とは利益の意味で、風運波と雷運波によって生み出される猛烈なエネルギーは、あなたを大きな仕事に立ち向かわせ、そこに利益を生じさせるわけです。』
また、『精神的にも充実し、バイタリティに溢れたあなたが異性からも好感を持たれるのは当然です。たくさんの異性からの求愛がありますが、かならず生涯の伴侶にふさわしい相手があらわれ、話はトントン拍子に結婚まで進みます』のようなことも書いてあります。
もちろん幼少期ですので結婚とは関係がありませんが、この時期の私は異性からモテるどころかバカにされていた頃ですので、笑うしかありません。また精神的にも辛かった時期で、今考えてもエネルギッシュとはほど遠い感じでありました。
このような結果から、私は姓名判断を元にした上記の流年法は当たらないと考えています。以下に、なぜ当たらないのかという私の見解と、疑問点も付け加えておきます。
- なぜ総格と地格を用いるのか?おそらく総格が晩年運、地格が幼少運を示すからだと思うが、すっきりしない。なぜなら、総格は天格と地格の派生要素であって、地格とは概念(次元)が異なるからです。
- このため、そうであれば天格と地格を用いるべきだと思う。これは、卦の上卦(陽・天格)と下卦(陰・地格)とも合致するのですっきりするし、理論的にも納得がいきます。
- また、姓名判断なのに易を用いるということは、それは純粋な姓名判断ではないと考える(易占いの応用)。
- そして易占いにおける個々の恣意的な判断が加わることを懸念する(易占いでは、吉凶どっちとも取れるような判断がよくある)
- 実際に過去の事象を占ってみた結果、当たっていなかったことで、この流年法が当たらないということが明らかに。
また、大運や流年を知りたいのであれば、先天運(四柱推命)を元にするほうが確実ですので、そうであれば姓名判断の流年法を利用する意味はないのです。さらに、もし姓名判断の後天運的流年法を採用するとなると、今度は先天運の大運と後天運の大運の二つがあることになり、大変な混乱を引き起こしてしまうでしょう。
そのようなことから、私は姓名判断における流年法は採用するべきではなく、大運・流年については先天運由来の干支を参照することが理に適っていると考えています。なお先ほどの過去の私の大運・流年の干支を見ると、事象とピタリと当たっており、最後にそれを紹介して終わりにしようと思います。
- 事故のあった1989年の大運は【戊(土)戌(土)】で私の忌神が巡っていました。これら強い土は私の喜神である食傷(水)を剋すため、生活の不安定および生命の危険をもたらす可能性がありました。
- 私の命造は水が多いため、湿になった土は水を剋しながら金を生じ強めます。これが悪循環の始まりです。
- 特に土・火の流年が危険となりますが、1989年は【己(土)巳(火)】であり、この年から強い土が巡り、日干の庚金が大過、食傷が無力となったこともあり、首を骨折する事故を起こしました(骨は水で、土剋水による忌象です)。
- さらに1994年、ちょうどビートたけしさんがバイク事故を起こした同じ日に大量流血する事故を起こしますが、この年の運気が【甲戌】と、ここにも戌土が巡っており、全てピタリと当たっています。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。